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[インターネットで写真を見る/日本カメラ1999年9月号:120-123]


[はじめに]
 パーソナル・コンピュータによるインターネット接続も、ようやくポピュラーと呼べる段階に近づいてきたのではないだろうか。インターネットの利用は、今後も加速度的に普及していくことは間違いないだろう。
 とはいえ、海外のホームページとなると、いささか敷居が高く感じてしまうのが、実際の印象ではないだろうか。だが、言葉が外国語というだけで敬遠していては、もったいない。インターネットの良いところのひとつは、クリックするだけで、自由にさまざまな情報にアクセスできるところなのだから。言葉がわからなくても、見てまわるだけで、充分楽しめるホームページも多いし、また、そういう気楽な接し方ができるところが、インターネットの面白みでもある。
 写真をめぐるサイトで言えば、海外の写真関係の美術館によるホームページは、作りが丁寧で、デザインも美しい、見応えのあるものが多い。そうしたホームページを見ていくための、ごく初歩的な手順と、いくつかのおすすめのホームページを、ご案内しよう。
 さて、その前に、ひとつだけ注意しておきたいことがある。当然のことながら、写真をめぐるサイトは、ほとんどの場合、ハイクオリティの画像を多く用いている。ということは、必ずしも、読み込みのスピードが快適に保たれるわけではない。いわゆる、“重い”ページが多いのである。コンピュータの使用環境によっても違ってくるが、ストレスの少ないアクセスをするために、時間帯など、できるだけ良い条件を選ぶことをおすすめしたい。

[検索エンジン]
 ホームページを見るためには、まずURLを知らなくてはならない。そのために必須なのが、検索エンジンだ。興味ある情報を載せているホームページを探すために有効なのはもちろん、URLがわかっているが、いちいち打ち込むのが面倒な時などにも役に立つ。ここでは、もっとも代表的な検索エンジン、Yahoo!とGooを使ってみよう。
 登録されたページが、階層的に整理されているディレクトリ型のYahoo!では、キーワードで検索するよりも、興味がある階層をたどっていく方が、確実で簡単だろう。写真を扱う美術館の場合には、例えば、Home > Arts > Visual Arts > Photography > Museums and Galleries、さらに、Colleges and Universitiesといった具合に、たどっていけばいい。また、英語が苦手なら、Yahoo! Japanから、ホーム > 芸術と人文 > 視覚芸術、ビジュアルアート > 写真 > 美術館、ギャラリー…とたどっていき、「Yahoo! USAの同一カテゴリへ」を押せば、同様のページにジャンプする。
 自動的にホームページ情報を探索して、キーワードを抽出し検索できるようにした、ロボット収集型のGooでは、photographyとmuseumをスペースを空けて入力し、「すべての語を含む」を選択して、複合検索してみよう。すると、「検索結果78904件」などと大きな数字が出てくるが、ひるむことはない。左側に表示される、ヒット率が高いページのみを見ればいいのだ。
 もうひとつ、おすすめしておきたい検索ページがある。Art Museum Networkの、exCALENDARデータベースだ。作家名、展覧会タイトル、場所名、美術館名、任意のキーワードで検索できるほか、地図を見ながら地域で選んでいくことなどもできるので、思いつくままに興味ある項目を入力して楽しめるのはもちろん、具体的に海外旅行の予定があるときの計画作りにも、パワーを発揮してくれるだろう。

[写真関係の美術館のホームページ]
 先ほどの要領で、Gooで検索して、ヒット率1位で出てくるのが、ジョージ・イーストマン・ハウス(George Eastman House)。2位が、カリフォルニア大学リバーサイド校付属カリフォルニア写真美術館(UCR California Museum of Photography )だ。
 Yahoo!では、Museums and Galleriesの階層で、国際写真センター(International Center of Photography)など、Colleges and Universitiesの階層では、アリゾナ大学センター・フォア・クリエイティヴ・フォトグラフィー(University of Arizona - Center for Creative Photography)などを見つけることができる。Organizationsの階層も念のため見てみると、フレンズ・オブ・フォトグラフィー(Friends of Photography )を見つけることができた。
 写真部門を持つ美術館なども含めていくと、見ておきたいサイトは無数にあるが、比較的なじみやすい、写真を専門的に扱うアメリカの美術館ということで言えば、このあたりのホームページに当たりがつけば、けっこう楽しめるだろう。
 美術館のホームページは、たいていの場合、インフォメーション、コレクション、展覧会案内、各種プログラム紹介、リンク集といったコーナーで構成されている。ウェッブだけの展覧会を開いているホームページもある。検索エンジンからトップページにジャンプしたら、面白そうな項目をクリックして、いろいろなコーナーを見てみよう。


[Yahoo!]
http://www.yahoo.com/
[Yahoo!JAPAN]
http://www.yahoo.co.jp/
*もっともメジャーな検索エンジンなので、インターネットを使ったことがあれば、誰しもお世話になっているだろう。 Museums and Galleriesでは20件弱、Colleges and Universitiesでは5件が紹介されていた。登録制で、かつチェックされたホームページしか載っていないので、大きなハズレがないことが、Yahoo!のよいところ。「お気に入り」や「ブックマーク」に興味のある階層を登録しておけば、リンク集としても便利。

[Goo]
http://www.goo.ne.jp/
*ロボット収集型のGooは、Yahoo!と対極的。キーワードにひっかかるページは、なんでも拾ってきてくれる。よって、photographyやmuseumといった一般的なキーワードで検索すると、何万件という単位でヒットしてしまう。が、実際は同じサイトの別のページを拾ってきたりしているので、ヒット率の高い上位のホームページを見るつもりで使えばよい。あるいは目的がはっきりしていれば、キーワードを追加して、さらに絞り込んでいこう。写真家名などの、他の検索エンジンではまったくヒットしないキーワードでも、Gooなら何らかのページを拾ってくることが多いので、そういう場合にも便利。

[exCALENDAR]
http://www.EXCALENDAR.net/
*美術館専門の検索ページ。試みにphotographyで検索してみると、20件がヒットした。展覧会名、美術館、開催地、開催期間が一覧表の形で表示されるので見やすい。こうして世界中の美術館に一気にアクセスできるのも、インターネットの醍醐味だろう。作家名、美術館名、展覧会タイトルなどがはっきりわかっているときは、一般的な検索エンジンよりも正確にヒットするので、とても便利。そうした実用的な使い方はもとより、思いつくままに、いろいろな場所の美術館を検索し、架空の旅を楽しむといった使い方もできるだろう。

[George Eastman House]
http://www.eastman.org/
*コダックの創始者の名を冠した美術館、ジョージ・イーストマン・ハウスは、これまでも、エッポク・メイキング的な展覧会を開いてるだけでなく、充実したコレクションを誇っている。そのサイトもコンテンツは実に豊富。写真コレクションのほか、映画コレクション、技術コレクションも充実しており、ゆっくり眺めていると、あっというまに小一時間は過ぎてしまうだろう。
*トップページに大きくあらわれてきたのは、現在開催中のInside Out 50 Years of Collecting。創設50周年を記念した展覧会だ。つねに最新の情報に触れることができるのも、インターネットのよいところ。
*写真コレクションのダゲレオタイプのコーナー。パソコンを使って、黎明期の写真を見てみるのも、なかなか面白い。
*ジョージ・イーストマン・ハウスならではのページのひとつは、Timeline of Photography だろう。いろいろな時代をクリックしていくと、手軽に映像の歴史が学べるようになっている。

[UCR California Museum of Photography]
http://cmpl.ucr.edu/
*大きな美術館のような派手さはないが、10万枚以上のステレオ写真のヴィンテージを保有するなど、地域色を活かした独自な活動で知られる、カリフォルニア大学リバーサイド校付属カリフォルニア写真美術館。中心地から外れたところにあって、立地的には、なかなか行きにくい場所だが、インターネットなら手軽に覗いてみることができる。
* Webworksのコーナーでは、インターネットならではの、実験的なウェッブ上の展示を行っている。動画ファイルを用いたRooftops。スキャナを用いたScanner as Camera。
*最近は日本の美術館でも行われるようになってきたが、アメリカの美術館ではワークショップによる交流が頻繁に行われている。このページはフランスの写真家、Lucien Clergueによる、ヌード写真のワークショップのレポート。ワークショップのアクティヴな雰囲気に触れてみるのも楽しいだろう。
*美術館の中を実況するLive Web Cam。30秒くらいの間隔で、自動的に画像が更新されるようになっている。

[International Center of Photography]
http://www.icp.org/
*美術館としてだけではなく、充実した教育プログラムなどを通して、写真文化に大きく貢献している国際写真センター。このホームページから、展覧会、ワークショップなどのインフォメーションを得ることができる。
*開催中のMyths, Dreams, and Realities in Contemporary Argentine Photographyと、Sea Change:The Seascape in Contemporary Photography。
*ウェッブ上の企画として、デヴィッド・シーモアとウィージーの写真を紹介していた。バイオグラフィーなども整っており、見応えがある。

[University of Arizona - Center for Creative Photography]
http://www.ccp.arizona.edu/ccp.html
*アリゾナ大学センター・フォア・クリエイティヴ・フォトグラフィーは、プリントだけではなく、ネガや書簡などの写真家の各種資料を集めたアーカイヴで知られている。アーカイヴは、アンセル・アダムス、ユージン・スミス、ロバート・ハイネケン、アーロン・シスキンドなど100人を越えるが、ホームページでもその一端に触れることができる。
*このサイトから、アリゾナ大学図書館の検索ページにジャンプすることもできる。試しにROBERT FRANKで検索してみると、12冊にヒット、名著『アメリカ人』のエディション違いが5冊出てきた。

[The Friends of Photography]
http://www.friendsofphotography.org/
*写真家にきめ細かに焦点を当てた、ユニークな企画で知られる、フレンズ・オブ・フォトグラフィー。展覧会だけでなく、イヴェントや出版の情報も多い。リンク集からは、今回紹介した、カリフォルニア写真美術館、国際写真センター、センター・フォア・クリエイティヴ・フォトグラフィーなどにもジャンプできて便利。フレンズ・オブ・フォトグラフィーでは、海外からでも会員になれる、会費に応じて様々な特典を受けられるメンバーシップ制度が充実しているが、このサイトから申込用紙を手に入れることもできる。
*開催中の、INNOVATION / IMAGINATION:50 Years of Polaroid Photography展の紹介。ウェッブ上からも、多数の作品を見ることができる。

[Contemporary arts museum, houston]
http://www.camh.org/
[Whitney Museum of American Art]
http://www.whitney.org/
*Art Museum Networkの、exCALENDARデータベースの検索で見つけたサイト。
*ヒューストン現代美術館では、ナン・ゴールディンの展覧会を案内。
*ビエンナーレなどでも知られる、ホイットニー美術館では、今世紀のアメリカ美術を振り返る展覧会、The American Century:Art & Culture 1900-2000を開催。写真家では、アルフレッド・スティーッグリッツなどが紹介されている。