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[特別ゲストR・フランクのレクチャーも・東川町フォト・フェスタ'89(北海道上川郡東川町)/日本カメラ1989年9月号:115]


『東川町国際写真フェスティバル』(東川町フォトフェスタ)も今年ですでに5回目を迎え、恒例の夏の写真イヴェントとして定着しつつあるようだ。開幕の7月23日には間に合わなかったが、メイン・イヴェントが主におこなわれる26・27日の二日間、たいへん急ぎ足ではあるが参加することができたので、その様子をレポ−トしたい。

ロバート・フランク 東川 1989 26日、東川賞受賞式のあとには、メイン会場となっている環境改善センターとなりの羽衣公園で、レセプションが開かれた。快晴の空、広々とした芝生の上でのパーティーは、はじめからリラックスした開放的な雰囲気である。北海道のおいしい農産物を味わいながら、受賞作家の方々はもちろん、参加した写真家や写真評論家の方々を、各地から集まってきたボランティアなどの写真少年・少女が囲んで、気さくな会話がはずむ。今回特別ゲストとして招かれたロバート・フランク(Robert Frank)氏も顔を見せ、来日したばかりの疲れにもかかわらず、終始笑顔で気軽に会話やサインに応じていた。

アンデパンダン展 東川 198927日は、朝早く9時から、アンデパンダン展に寄せられた全国からの作品を、飯沢耕太郎・伊藤俊治・植田正治・畑祥雄・平木収・山崎博氏などの豪華な講師陣がじっくりと合評。めったにない機会に、出品者はもちろん、集まった人達が熱心に耳をかたむける。竹田津実・戸井十月氏がそれぞれの自然観をぶつけあうトークライヴのあとは、フランク氏のレクチャー。最新作のビデオ作品や、『アメリカ人』から現在に至るまでの写真をスライドで見ながら、貴重な話を聞くことができた。ひきつづいてのシンポジウム「写真と心の原風景」では、今回の海外作家賞の石少華氏は病気のため残念ながら欠席されたものの、司会の山口昌男氏そして奈良原一高・渡部雄吉(国内作家賞)・フランク氏によって、写真に常についてまわる個人的原風景についての意見が交わされた。

イヴェントの合間をぬって、陽射しの下、さわやかな風が吹く町を歩いていると、町内の子供達と作ったというジャンボ・ピンホールカメラや、林の幹・枝に吊された写真に出くわしたりする。メイン会場でも東川の小学生によるチビッコ写真展や、東川の昔の姿を写した写真の展示が開催されていた。フォトフェスタもゆるやかではあるが、地域の中で少しづつ育って来ているようだ。イヴェントはこのあと8月下旬までつづく。