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[穴語:製品名 & 著作権/日本カメラ2005年12月号:206]


[製品名]

 そろそろデジタルカメラも使ってみようかと、話題のコンパクト機bonjourはどれかと店員に聞くと、どのbonjourですか?と逆に聞かれてしまう。bonjourには、定番のbonjour ST以外に、超コンパクトのbonjour 2、高倍率ズームのbonjour ZOOMがあるらしい。とりあえずカタログをもらい、数ヶ月後bonjour STに狙いを定め再び店に行くと、新製品のbonjour 100が並んでいる。画質で決めようとアドバイスを求めると、それなら普及機のbonjourシリーズではなく、上級機のvisuelシリーズがおすすめだと言われる。そのなかでもハイスペックのvisuel HTがいいらしいが、デジタル一眼レフが買えそうな値段なので、また迷う。さらに数ヶ月後、今度こそはvisuel HTを買うことに決めて店に行くと、visuelシリーズはなくなっていて、bonjour PREMIUMをかわりにすすめられる。
 これは架空の製品名での、いささか極端な例だが、これと似たような経験をしたことがある人は多いのではなかろうか。新製品が投入されるサイクルはめまぐるしく、また機種も多いので、製品名や型番にそれなり整合性はあるものの、一見してその意味がわかることは少ない。新製品の動向を日々追っている人でもなければ、製品名や型番から、何が特色なのかイメージできることはほとんどないだろう。カメラに限らず、他の製品でもみられるこうした傾向は、デジタル機器においていっそう顕著になっており、簡単が謳い文句の製品を選択するのも、簡単どころか一苦労になってきている。
 もちろんこうした傾向は、ユーザーの新しい物好きで多機能好きな傾向を反映したものでもあるので、いちがいにメーカーだけを責められるものではない。ユーザーとしても、メーカーを育むくらいの気持ちで、製品名や型番に込められたコンセプトとその展開を吟味すべき時期にさしかかっているのかもしれない。

[著作権]

 パソコンなどのデジタル機器が普及するにしたがって、著作権が話題になることが増えた。自分のホームページを持っている人なら、「無断使用禁止」といった記載をしている人も多いだろう。しかし、じっさいに著作権とは何かと考えることは少ないのではないだろうか。
 日本の法律では、著作権は著作物を創作した者に自動的に発生することになっている。そしてこの著作権の保護期間は、作者の死後50年とされている。つまり、もしあなたが現在30歳で80歳に他界したとしたら、今撮った写真の著作権は100年後まで保護されることになる。この間にその写真を使いたいなら、あなたや著作権の継承者に許可をえなければならないというわけだ。
 いつの間にか自作が勝手に使用されて嬉しい人はいないだろう。だが、自作が埋もれていき、まったく使われることがないのも寂しいものではないだろうか。著作権というと、使用禁止の側面が強調されることが多いが、どのように使用を許可するのかというのも重要な側面である。これについては、さまざまな議論があるが、アマチュアカメラマンもこの問題とは無縁ではない。いや、無縁ではないどころか、アマチュアカメラマンこそが、50年後、100年後の写真の使い方に影響を与えていく主役かもしれないのだ。ホームページなどに「無断使用禁止」と書くときには、どのように使用を許可するのかという側面も考えてみよう。