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[穴語:エンジン & 切り分け/日本カメラ2005年11月号:211]


[切り分け]

 何もおかしいことはしていないのに、ちゃんと使っているのに、カメラやパソコンの調子が悪くなってしまって、困ってしまったことはないだろうか?あるとすれば、あなたが困っている以上に、まわりの人があなたを困った人だなぁ、と思っている可能性が高い。
 例えば、デジカメで写真が撮れなくなった場合、電池が充電されてない、メモリカードの不具合、操作の間違い、本体の故障など、さまざまな要因が考えられる。どこにトラブルがあるのかを絞り込むために、こうした要因を一つ一つチェックすることを、問題を切り分けるといい、たいていのマニュアルには最低限チェックすべき項目も記載してある。「おかしいことはしてません!」「ちゃんと使ってました!」「とても困ってます!」というのは、何の切り分けもしておらず、何の説明にもなっていない、相談された方でも困ってしまう典型的なフレーズなのである。
 突然のトラブルで動揺してしまうのもわからないでもない。しかし、困った困ったと騒いだところでトラブルが解決するはずもない。人に愚痴を聞いてほしいのか、サポートに八つ当たりしたいのか、それとも問題を一刻も早く解決したいのか。せめて自分の心の切り分けくらいはしてから相談したいものだ。

[エンジン]

 写真がデジタル化していくなかで、エンジンという言葉をよく耳にするようになった。プリンタ、スキャナなどにも使われているが、もっとも身近なのはデジカメの画像処理エンジンだろう。「新画像処理エンジン○○搭載!!」などと、華々しい独自の名称をつけ、積極的に性能をアピールしているメーカーも多い。
 ところで、このエンジンとはいったい何だろうか?車のエンジンからイメージすると、何だか速くてパワフルな感じがするが、画像処理エンジンについても、このイメージはあながち間違いではない。デジカメでは、銀塩カメラのフィルム面部分にCCDがあるが、CCDは光の強弱を電気信号に変えるだけなので、JPEGなどの画像データを得るためには一定の処理が必要だ。コンピュータの世界では、ある目的に特化されたプログラムをエンジンと呼ぶので、この処理を担うプログラムが、デジカメでは画像処理エンジンと呼ばれているわけだ。画像処理エンジンのデキが悪いと、一枚撮影するごとに待たされたり、厳しい条件の撮影で画質が著しく低下したりする。
 とはいえ、高性能化した現在のデジカメでは、そうしたデキの悪い画像処理エンジンはほとんどない。画像処理エンジンの違いは、味や癖といわれるような、いわゆる絵作りの違いに現れてくると考えていいだろう。何百万画素というようなスペックのみが注目されがちだが、画像処理エンジンはそれに負けず劣らず画像に大きな影響をもたらす部分。日頃から実写テストや仲間のデジカメの絵作りに注目しておくと、自分がデジカメを選ぶさいの大きな決め手になるに違いない。