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[書評:トレッキングとカメラを優雅に組み合わせた季刊誌が発行された『Packers』/日本カメラ2005年9月号:203]


 日本で唯一のトレッキング専門誌を標榜する、季刊『Packers』が創刊された。トレッキングとは広辞苑によると、「山歩き。特に、高山の麓を歩いて風景などを楽しむもの」とあるが、次のような『Packers』のコピーの方が、トレッキングのイメージをよく伝えているだろう。

 「人類にはパックを背負った人種と背負ってない人種がいます。パック人種は、両手が自由で身軽、風のように遠くまで歩いて行くことができます。旅の目的は、見晴らしのよいところから地球景観を眺めること。地球の風景に国内、海外の区別はありません」

 このコピーの通り、創刊号では、エベレスト、モンゴル、アンデス、デナリ、四川、ルエンゾリ、チリ、カラコルム、ラダック、マッキンリーといった、遠く遙かな海外の旅から、日光の山、甲州御坂の槍、南アルプスといった、国内の身近な旅まで、さまざまな楽しみ方が提案されている。超定番であるがゆえに意外と調べにくい富士山の登り方のガイドといった特集があるのも、きめ細かな編集を感じさせるところだ。

 素晴らしい風景に出会うと、カメラにそれをおさめたくなる。カメラを持っていると、新しい風景に出会いたくなる。トレッキングとカメラは、とても近しい趣味だと言えよう。じっさい、両方が趣味だという人も多いはず。そうした関心に応えるかのように、『Packers』では、大判の誌面を活かして写真も豊富に掲載されているのが嬉しい。特に風景写真をフィーチャーしたページでは、渡辺正和、梶山正、新井和也、金子雄爾、糸尾汽車の各氏による写真が、一頁〜見開きで贅沢に展開されており、見応え満点だ。

 誌面を気ままに見ているだけでも楽しいし、楽しいから自分でも行きたくなってくる。新たな風景との出会いは、きっと写真の世界も広げてくれるだろう。『Packers』は、カメラが趣味の人も要注目の新雑誌だ。