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[穴語:銀塩 & ウイルス/日本カメラ2005年7月号:219]


[銀塩]

 フィルムの感光剤として用いられる、ハロゲン化銀などの塩化銀化合物を指す「銀塩」という言葉は、銀塩カメラとデジタルカメラというふうに、「デジタル」の対語として使われるのがすっかり定着した感がある。
 「デジタル」という言葉が一般的に使われるようになったのは、おそらくは1970年代のデジタル腕時計あたりからではないだろうか。それ以来、ハイテクで冷たいイメージのものには「デジタル」、ローテクだが温もりがあるイメージには「アナログ」という言葉が好んで使われてきているようだ。電子制御されるようになっても、デジタル洗濯機やデジタル炊飯器などとは呼ばれないのはそのためだろう。
 たしかに、デジタル技術は大きな変化をもたらす部分もあるが、「デジタル」という言葉には、こけおどし的なイメージもある。そのこけおどしに負けないように考えられた対語が、どこか科学の魔術っぽい響きがある「銀塩」という言葉なのかもしれない。「デジタル」対「アナログ」では月並みだし、「メモリ」対「フィルム」ではパッとしないではないか。
 このように、「銀塩」と「デジタル」という対語には、多分に言葉によって演出された側面もある。ユーザーとしては、演出に踊らされない心の余裕をもって、変化を楽しんでいた方がいいと思うのだが、いかがだろうか。

[ウイルス]

 たまに、「ウイルスでパソコンが壊れた」といった会話を耳にすることがある。しかし、コンピュータウイルスとは悪さをするプログラムのことなので、パソコンが物理的に壊れることはありえない。ということは最悪の場合でも、ハードディスクを初期化してOSを再インストールすれば、パソコンは問題のない状態に戻すことができるので、必要以上におびえることはない。
 とはいえ、ウイルスの感染を疑うたびに、ハードディスクを初期化するわけにもいかないだろう。ウイルスチェックソフトを用いるだけでなく、ウイルスチェックソフトメーカーのサイトなど複数の情報源から、つねに自分自身で最新で正確な情報を確認することを心がけたい。なぜなら、ウイルスと同じくらい恐いのが、自分が不確実な情報を流してしまうこと、つまり、いわゆるデマウイルスの流布に加担してしまうことだからだ。知人や友人からの聞きかじりのウイルス情報を、確認なしに誰かに知らせることは絶対にやめよう。
 ところで、みんなが使っているから安心という人間の心理があるが、コンピュータウイルスに関してはまったく逆。みんなが使っているOSやソフトだからこそ、標的にされることが多く、また伝染するのも早いのだ。そうしたOSやソフトを使っている人は、なおさらしっかりとウイルスチェックやセキュリティアップデートを実行するようにしよう。