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[穴語:一眼レフ & アップデート/日本カメラ2005年5月号:214]


[一眼レフ]

 パシャパシャというシャッター音、出っ張ったペンタプリズム、本格派カメラの代名詞でもある一眼レフ。この一眼レフという呼び名、じつは一種の略語である。英語ではSLR(SINGLE LENS REFLEX)と呼ぶように、ひとつのレンズ(一眼)からの像をミラーによって反射(レフレックス)してファインダーに結像させる方式だから、一眼レフなのだ。ペンタプリズムは、そのままでは逆になってしまう像を、左右正像にするためのもの。
 なぜこんな、ややこしい仕組みのカメラが生まれたのか? 写真の発明以来、カメラ開発の大きなポイントは、見たままが撮れるということであった。見たままを撮るには、どんな写真が撮れるのか、撮影前にわかることが重要。昔懐かし暗箱のカメラでは、撮影前にどんな写真が撮れるか、しっかりと確認できた。だが、一枚一枚フィルムを準備する暗箱カメラは、撮影が面倒。そこでロールフィルムが誕生したのだが、ロールフィルムは結像面をつねにふさいでしまうので、ビュー・ファインダー式のカメラや、ファインダー用レンズ付の二眼レフが作られるようになった。しかし、そうしたファインダーではどうしても誤差が生まれてしまう。
 どんな写真が撮れるか、撮影前に確認するためには、やはり撮影レンズで確認するのが一番。だが、ロールフィルムの簡便な速写性も重要。このジレンマを解決するために開発された夢のメカニズムこそが、一眼レフなのであった。この複雑かつ精巧なメカニズムの開発において、日本は他国を大きく引き離していった。一眼レフというメカニズムの誕生は、カメラ大国日本という大きな夢のはじまりでもあったのだ。

[アップデート]

 コンピュータのソフトウェアには不具合が含まれていることがある。そうした不具合を修正したり、若干の機能向上のために、ソフトを更新することをアップデートと言う。更新するためのアップデータは、インターネットからのダウンロードで提供される場合が多い。
 アップデートは必ずすべきものだと思ってしまいがちだが、じっさいはそうではない。というのは、アップデートによって新たな不具合が生じる場合もしばしばあるからだ。セキュリティやウィルス関係のアップデートは積極的にすべきだが、それ以外の場合は、使いたい機能の提供がなく、現状で特に不具合がなければ、アップデートしないのもひとつの手。
 こちらをたてればあちらがたたず、なんだか人間社会のような感もあるアップデートだが、うまくいかなければ元の状態に戻せるのがコンピュータのいいところ。やみくもにアップデートするのではなく、アップデート前のバックアップと情報収集は必ずしておこう。