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[追悼・肖像写真、ファッション写真の巨匠リチャード・アヴェドン・解説/日本カメラ2004年12月号:113]


リチャード・アベドンは、コマーシャルとアート、両方の領域で活躍した写真家と形容されることが多い。しかし、正確に言うならば、そうした領域にとらわれることがなく、またそこに収まることがなかったアベドンの才能が、コマーシャルとアートの在りようそのものを変えてしまった、ということではないだろうか。スポーツにおけるスーパースターが競技の性質を変えてしまうように、アベドンは表現の定義そのものを塗りかえたのである。そんなアベドンが、写真はもちろん現代の表現に与えた影響は、計り知れない。モードを撮るのではなく、つねに最先端でモードを作り出していたアベドン。アベドンが撮るものが、話題を呼び、流行になり、有名になったのだ。これがいささかも誇張でないことは、2002年にニューヨーク・タイムズ紙の「世界一有名な写真家」に選ばれたことが示している。