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[書評:学習研究社『大人の科学Vol.03』/日本カメラ2004年3月号:97]


 電子ブロックやからくり人形など、大人向けの科学教材で大きな話題を呼んだ『大人の科学』編集部が制作する、ふろく付のムック『大人の科学マガジン』03号の特集は「カメラ」。
 5.5センチもの厚みがあるパッケージに収められているふろくは、もちろんカメラ。ふろく部分のパッケージの開封部分には、「かならず 家に 帰ってから はこを あけましょう。」という懐かしい文字が。買った帰りにちょっと見てみようとして、この文字を発見して"グッ"と懐かしさがこみあげて、"ニヤリ"とした方も多いだろう。
 このカメラの出来がまた素晴らしい。広角にもなるピンホールとレンズが交換可能、露出は約1/250秒かバルブを選べる。撮影、プリント用の印画紙と現像用薬品が付属しているが、市販の35mmフィルムを使うこともできる。遊び心をくすぐるこのスペックは、まさに究極のトイカメラではないだろうか!
 もちろん記事の方も充実しており、赤瀬川源平、栗林慧、日比野克彦、岡本敏子、タナカカツキによる、ふろくカメラでの撮影記、ピンホールカメラでのさまざまな写真術、巨大トラックピンホールカメラによる富士山の撮影、世界の名機と進化の系譜、超高速ビデオカメラや人工衛星といった最先端カメラの紹介など、写真の世界の厚みと広がりを実感できるものになっている。また、『科学』の歴代ふろくカメラを紹介したページでは、かつて自分が夢ときめかせて遊んだふろくカメラと再会することができるに違いない。
 とにかく、"グッ"ときて"ニヤリ"の仕掛けが満載されたこのムック、遊んでいるうちにだんだん本気にさせられ、自然とカメラの原理も学べる、まさに大人を科学させてしまう一冊だ。