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[ルイ・ヴィトンを手がけた村上隆と海洋堂のコラボレーション:『美術手帖10月号』/日本カメラ2003年11月号:113]


 美術手帖の10月号を書店で見た人は、一瞬驚いたのではないだろうか。創刊55周年記念特大号として出された同号は、約5センチの分厚いものだったのである。といっても雑誌本体が増頁していたわけではなく、3センチ以上はオマケのフィギュア分であり、美術雑誌としては異例の特大号だったと言えるだろう。
 フィギュアを制作したのは、村上隆と海洋堂。村上隆は、六本木ヒルズのキャラクターロクロク星人のデザインや、ニュースにもなったルイ・ヴィトンとのコラボレーションなどでよく知られている、おそらく今もっともメジャーな現代美術家。海洋堂は、ニコンFも登場したタイムスリップグリコ・シリーズなど、多くの食玩(玩具菓子)やカプセルトイの制作を手がけているメーカーであり、クオリティの高さには定評がある。
 この最強の組み合わせで作られた今回のオマケは「Miss Ko2」という美少女フィギュア。クリスティーズで約6810万円という高額で落札された作品のミニチュアで、パッケージには限定版であることを示す作品ナンバーも入っており、コレクター心をくすぐるレア感も高い。さっそくYahoo!オークションを検索してみると、すでに数件出品されており、定価も超えていた。これを読んでいる頃には相場も定まってきていると思うので、興味がある方は検索してみるとほんとうのレア度がわかるだろう。
 ところで、こうしたオマケは文化系の雑誌では珍しいが、女性雑誌などでは、加熱ぶりがおなじみのもの。ネックレス、網ストッキング、折りたたみ傘など、お得感があるオマケは、売り上げを一気に伸ばすが、読者は所詮オマケ目当てのことも多いので、雑誌にとっては禁断の果実でもある。先陣を切って禁断の果実を食べた美術手帖が、美術や文化にどのような影響を与えるのか、注目されるところだ。