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[contemporary5:黙示録的語調(quote unquote version)/photographers' gallery 2002.12.17:http://www.pg-web.net/]


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口口口口口口口口口口口口口口口それですべては終わる口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口  写真が現実そのものを捉えるとき、私は消え去り、終わりが訪れる。だが、その終わりにおいてこそ、私は蘇るだろう。そして写真とは何かを解き明かすだろう。極限からはじまる同一律の物語。生と死、愛と啓蒙の物語。

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 写真そのもの、それは語りえない、しかし、それは語られなければならなかった。私は、それが語りえないものであることを知っている、しかしまた私は、禁忌を犯してまでもそれを語ることが使命でもあることを知っている。
 写真は写真である、写真そのものという問いなき問いが告げるのは、ただそれだけのことである。だがそれゆえに、写真そのものなるものは、最も直截に、暴力的に、自らを徴づける。そのものとは、志向性であり、美学であり、そのものならざるものを包み込む無意識である。それは現実ではない、しかし想像的なものでもない、だがその生々しさはまぎれもなく現実的なのだ。
 たとえ、知らぬまに語りだしてしまった私が、写真そのものを見出したのだとしても。  
口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口写真について語れば語るだけ、写真そのものをそこなう口口口口口口口口口口口口口口その愚をあえて犯してまで私がもう少しだけ語ってみよう口口口口口口口口口口口口口口口口口口口写真が何を意味しうるのか口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口すこしでも多くの人々が気づいてくれるかもしれない口口口口口口口口口口口口口口口口口口…写真口口口メディアの衝突口口口口現実と想像力の交差口口口口口口口口口口口口口口口口きりきざまれてゆく口口口口口口口口口口口口口口口口象徴であり、儀式であった口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口不安の代弁となっていった……知らぬまにである口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

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 私はそれを見ている。だが、けっして見ることはできないし、それは見てはならない。しかし、彼方から見られることは見ることによってのみ訪れる。言葉を通り抜け、意味を通り抜け、見る。見られる私を見る。見ることができなかったという、そのことを見る。
 このように語るとき、私は果たして見ているのだろうか。何を。
 そのように問いかけるとき、問いかけることそのものが、語ることの罠であることを私は知る。
口口口わたしは狂っているそう言えるわたしは狂っていないわたしは自分のイメージを二分しているのだ口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

 私は見ている、私は見ていない。私は語っている、私は語っていない。私はやがて、似ても似つかぬ私と出会うだろう。限りなく空無であり、それゆえ限りなく満たされている。何に。
 それを問う必要がどこにあるだろうか。ここからもうけっして逃げることはない私に。  
口口口口生の意識の最も根源的な部分を強烈に揺さぶるのだ口口口口口口口口口口言葉を失って絶句するか、目をそらして逃げ出すしかない口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口逃げ場を失い、退路を断たれた袋小路口口口口口口口口口口意味の層が破れ、これまで経験したことがなかったような新しい感覚が目覚める口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口向こう岸からの眼差しに刺し貫かれること口口口口口口口口口口口口口口口口口口口受け入れ、身をまかせる口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口必要なのは愛と狂気だけ口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口

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 それもありえたし、あれもありえただろう。だが今この時、私はここを生きている。他ならぬこの現実、この世界、この奇跡とともに、唯物論は何度でも、驚くべき強度で再来する。もちろん私は驚いてはいないし、奇跡を信じているわけではない。根底的に、徹底的に、絶対的に、信じないこと、信じるということそのものを信じないこと、つまり信じないことすら信じないこと。
 私はこのようなことを真面目に語っているわけではない、真面目に語っていると示しているのであり、真面目に語ってはいないと語っているのだ。
 そうすることもできたし、ああすることもできただろう。だが、こうすることこそが、唯物論的な、歴史的な使命だったのだ。私は使命を生きたのだ。使命を生きた私は、私ではない、だからこそ私たりえたのだ。だからこそ私は私を彼方に見たのだ。
口口隔絶の強度が高まるに応じて表現の強度も高まる口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口形態と意味口口口口口口経験と五感をもって交渉口口口口口口歴史のダイナミズム口口口口複数の力の同時進行、消滅、脈動、同時生成などによって発動口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口痕跡にすぎないのだ口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口からくりは同じだ口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口でもなく口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口でもなく口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口新たなる現実口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口新たなる自然口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口口戯れてみせる口口口口口口口口口口口口根拠があるのだ口口口口口口口口口口口口口口口口口口

― e/E ―


口口口口口口口口口口口口口口口口口口あなたはわたしの言葉を語らなければならない口口口口口口口口口口口口  私は私であり、私は私ではなかった。私は語った。私は示した。示すことすら語った。他ならぬこの現実において。この世界において。この極限に。このささやかな世紀末に。